ディオール(DIOR)の2022年リゾートコレクションは、ギリシャ・アテネのパナシナイコスタジアムで発表された。現地のアトリエや職人たちとの対話を経て、引き継がれるべき伝統技法を散りばめ、マリア・グラツィア・キウリはメゾンのサヴォワールフェールとイノベーションを繋ぎ合わせた。
古代ギリシャ女神たちの軽やかなる再来
ショーの舞台となったパナシナイコスタジアムは、古代、女神アテーナーを讃えてさまざまな大会が行われたと言われる場所。かつては7万人もの観客を収容し、現在はアテネ市民のためのスタジアムとして使用されている、ギリシャの文化に欠かせない場所だ。スポーツと文化を繋ぐ意味でも大義を成している。
今季のコレクションはその象徴的な場所の歴史に準えた。ランウェイのはじまりには、女神アテーナーを彷彿とさせる、ぺプロスを彷彿とさせる美しいドレープのドレス、ストラップショルダーのトップスなど神秘的なルックが登場する。ゴールドトーンメタルのフラワーとバタフライをが散りばめられたボディジュエリーは、エレガントなシャツに神聖なムードをプラスした。
スポーツの概念は、あらゆる形で表現されているが、最も顕著に表れているのはランウェイ中盤の変化。鮮やかなカラーリングで彩られた、ピエトロ・ルッフォが描くグラフィックは、トラックパンツやアノラックパーカーに落とし込まれ、モダンな女性像を浮き彫りにする。